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二瓶 健次さんの病院ボランティアインタビュー写真

日本で初めて「院内おもちゃライブラリー」を創設された二瓶健次先生。新たな取り組みを始められたきっかけや立上げエピソードについてお話しを伺う中で、これからの病院ボランティアのあり方について提言していただきました。

日本初「病院内おもちゃライブラリー」立ち上げエピソード

日本初の「病院内おもちゃライブラリー」を立ち上げた時のお話をお聞かせください。

立ち上げのきっかけは、当時わたしが働いていた国立小児病院(現在:国立成育医療研究センター)に、ある活動団体からおもちゃを寄付してもらったことでした。わたしの専門である小児の神経内科にくる病児は手術して治るようなものではなく、成長を見守りながら神経の発達をどう補っていくかという長期的なスタンスでの治療が必要でした。そこで小児神経内科において、おもちゃを使うことがどう脳神経の発達に役立つのか臨床心理士と共に科学的なアプローチで活動しはじめたのが「おもちゃライブラリー」のはじまりです。当時は日本で初めての取り組みだったこともあり、院内からも様々な意見が飛び交う中でのスタートでした。もちろん病院では治療優先なので、おもちゃライブラリーでの活動を治療スケジュールの中に組み入れるのも一苦労でした。目的外診療として軽視されたり、安全性への配慮を危惧する声も上がりましたが、当時の院長・看護部長の理解がありおもちゃライブラリーは現在も多くの病児やその家族に利用されています。この取り組みは海外からも注目され、色々な国のファーストレディーの方、故ダイアナ元妃も視察に訪問されました。

日本で初めて院内ボランティアや院内学級を開設し、患者家族のために親の会を立ち上げてきた二瓶先生ですが、新しいことを始める中で時には反対の声もあったと思います。

新しいことをやろうとすると5割は反対、4割は反対も賛成もしないで、うまくいったら賛成するし、失敗したらそれみたことかという。でも残り1割くらいは積極的に賛成して応援してくれる人がいるといわれています。私も同じように感じました。新しい取り組みをする中で反対の声が出ることもありましたが、一番サポートを必要としている患者さんやその家族から賛同の声をもらっていました。

そういった賛同の声が新しいことを推し進めていく力になっていたのでしょうか。

そうですね、それは大きかったと思います。

院内ボランティア以外にも、病児やその家族に寄り添う活動を立ち上げられたと聞きました。

国立小児病院の神経内科には希な難病を持った子供たちもたくさんいました。全国でも100人にも満たないような病気の小児たちも来ていました。このような希な病気は通常の小児科医が一生に一度見るか見ないかというものです。そのような希な病気の場合、医者も知らないことが多く、もちろん一般にも知られておらず、親は病気に関する情報や、同じ病気の子どもを持つ親の情報を求めていました。そこで同じ病気を持つ家族間でネットワークを作りそこで情報共有するのがいいと思い、親の会の発足に携わることになりました(今までに5つくらいの親の会に関わりました)。

そこで親同士が集まると、病気や生活に関しての情報交換がなされ、集まることで社会にも存在をアッピールすることができました。会の中からはいろいろな意見が出てきましたが、「難病の子どもをもつとなかなか家族旅行ができない」という声もその一つでした。「それならみんなで集まってキャンプをしたらいいんじゃないか」という話になり病児とその家族を対象にしたサマーキャンプを始めました。今ではこのサマーキャンプの活動も30年以上続いています。

それから、長期入院している子供たちにとって学校に行けないというのは大きな問題でした。友達に会えないし、勉強もどんどん遅れてしまうという閉塞感を打破するために院内学級を立ち上げたのもこの時期です。この取り組みには厚生労働省も賛同してもらい、今では全国にあるこども病院の多くに院内学級が併設されています。

ここで紹介した取り組みは、病院のスタッフだけでは実現できていません。その一つ一つの活動にボランティアスタッフの方が携わってくれています。病児の家族、医療スタッフ、病院ボランティアが協力しあって運用できているんですね。

このような活動が、住んでいる地域に関係なく多くの患者さんやそのご家族に利用されるようになればいいですね。

以前、小児病院に在職しているときに、長い間、寝たきりの生活を余儀なくされていた子どもに「今、どこに行ってみたいかな?」と聞くと、昔、行ったことのある「動物園に行きたい」という答えが返ってきました。そこで、当時の最先端の技術を使ってバーチャル3Dを使って動物園に行くという疑似体験ができる装置を作ってもらいました。この技術の開発には、当時の通産省と多くの企業が協力してくれました。東京の子ども病院に入院している子どもと、長野の子ども病院に入院している子ども同士がバーチャルの空間でコミュニケーションをとったり、音楽の合奏をしたり、入院する前に通っていた学校で授業を受けるという試みを行うことが出来ました。IT技術の進歩は速いので、場所に関係なく、日本だけでなく世界にいる子供同士が気軽にコミュニケーションが取れるようになる日も近いのではないでしょうか。

二瓶 健次さんの病院ボランティアインタビュー写真

病院ボランティアの活動がさらに広がっていくために

病院ボランティアの活動がさらに広がっていくために必要なことはありますか。

病院ボランティアスタッフに求められることは、「本人が健康」、「社会常識をもっていること」、「病気の知識」そして「ハート」だと思います。ボランティア活動中に宗教やイデオロギーを押し付けるようなことがあっては本来の活動の意義を見失ってしまいます。常識的な節度ある言動が求められる場であることを事前に知っておいてほしいですね。次に病気に関する知識。入院中の患者は体力も免疫力も落ちてちょっとしたことが命取りになります。そのために、感染症の抗体が十分な数値をクリアしているかの確認や、冬の時期ならばインフルエンザの予防接種などが必要であることを理解して活動してほしいですね。また、病気についての知識があると安全性が担保され、ボランティアへの信頼感がぐっと高まり、結果的に活動範囲を広げる事につながるでしょう。そして、やはりハート(気持ち)が最も大切だと思います。寄り添う気持ちがボランティア活動の原点になっていると活動の質を押し上げるんですね。

ボランティアスタッフさんからは「活動できる病院がない」という声を聞くことがあります。

病院ボランティアの活動ができる病院はまだ限られています。それにはまず、医療スタッフには、まず病院ボランティアの活動について知ってほしいと思います。どんなボランティア活動があり、患者さんやその家族にとってどんな支えになっているのかを知ることから始めてもらうことです。

二瓶 健次さんの病院ボランティアインタビュー写真

身近な存在である医療スタッフの方だからこそ「こんなサポートがあればいいな」というアイディアがあると思います。そんなサポートを、病院ボランティアの力を借りることで実現するケースが増えるといいですね。

患者さんやその家族にできることはあるでしょうか。

自分たちの求めるサポート内容(何をしてほしいか)について具現化することを期待します。病院ボランティアを通して自分の特技や経験を生かしたいと思っているスタッフは実は多くいますが、患者ニーズとのマッチングがうまくいかないこともあります。その理由の一つは「どこで誰がどんな問題を望んでいるか抱えているか」を察知しづらいためです。

患者やその家族単体で声を上げるのは難しいように感じます。

その通りです。どうしていいか分からない時は、病気別の患者会が全国に現在100以上ありますので、要望を伝えてみるといいと思います。また、「NPO難病の子ども全国ネットワークという団体」に相談するのもよいです。そうやって少しずつ発言数が増えてくることで、国が支援を始めたりNPO法人が新しい取り組みを始めた事例は実はたくさんあります。

ボランティア活動は、大学生や高校生の活動を制限しているところもあります。

それぞれの病院の事情もあると思いますが、事前にルールや研修が行われていれば年齢に関係なく社会人や大学生も活動できると思います。「今の若い者は・・・」と耳にすることもありますが、実際に若い方と話をすると、私たちの若い時代に比べて問題意識を持って取り組んでいる人が多いことに驚かされます。東日本大震災の時も多くの若者がボランティア活動に参加していました。

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今後の病院ボランティア活動について

これから期待したい病院ボランティア活動はありますか?

病院ボランティアというのは基本的には入院中の治療、検査、療育の間の生活をサポートするものですので、色々な関わり方があります。実際に患者さんに触れてみて色々なアイデアを持ってほしいと思います。派手なパーフォマンスだけではなく、地味な関わりも期待しています。私は小児科医なので小児に関する話になりますが、子どもたちの夕食の後から寝るまでの、夜間の見守りといったボランティア活動が広まるといいなと感じます。この時間帯はみんながいなくなって、一人になり、さびしがっている子どもが多いんですね。そこに夜間の見守りボランティアが増えると、さみしい時間帯を一人で過ごさずにすむので病児の心理的なストレスも軽減されるでしょう。

二瓶 健次さんの病院ボランティアインタビュー写真

※団体名、所属名、役職はインタビュー当時のものです。