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近藤 博子さんの病院ボランティアインタビュー写真

1968年(昭和43年)に聖路加国際病院で子どもを亡くした親が「小児がんを治る病気にしたい、小児がんの子どもを持つ親を支援しよう」という趣旨のもとで立ち上げた親の会が、公益財団法人「がんの子どもを守る会」のはじまりです。現在では、全国21支部で構成され、それぞれの会員ボランティアさんが各地のニーズに合わせた交流会や相談会など幅広い活動に携わっています。
今回は、この会の副理事長であり、長年ソーシャルワーカーとしてがんの子どもたちやその家族に寄り添ってきた近藤博子さんに、がんになった子どもを取り巻く環境やサポート体制の現状、病院ボランティアの経験から今後求められる「病院ボランティア」の意義や内容について伺いました。

「がんの子どもを守る会」の相談事業について

「がんの子どもを守る会」の活動内容について教えていただけますか?

まず活動の目的ですが、患者・家族が直面する困難、悩みを少しでも軽減することです。そのために、小児がんに関する知識の普及、相談、調査・研究、宿泊施設の運営、小児がん患者、家族へのさまざまな支援などを行っています。

「がんの子どもを守る会」ではソーシャルワーカーによる相談事業を行われていますが、具体的にどんな相談事項が多いのでしょうか。

相談全体の97.7%が生活相談、残りの2.3%は医療相談になります。

1つ目の生活相談として多いのは、長期入院が必要な場合に必要になる宿泊施設の相談や、入退院後の転校・復学に関する相談、きょうだいケア、社会復帰や経済的負担に関すること、また心理社会的な相談など多く寄せられています。患者さん本人や家族が不安や心配なことを話すことで、「気持ちの整理がつく」「心が落ち着く」という声をいただいています。

2つ目の医療相談で多い内容は、「この病気はどこの病院・先生に受診したらいいの?」といったセカンドオピニオンに関する相談です。続いて晩期合併症(成長段階に薬物療法や放射線治療を受けることによって生じる合併症)に関する相談が多くなります。

当会の特徴として、療養中に限らず療養終了後やターミナルケア時・死亡後の相談も多く寄せられ継続した相談を受けている点をあげることができます。全国から寄せられるこれらの相談事業は、常駐するソーシャルワーカーが6名体制(東京5名・大阪1名)でお受けしています。

現在は病院内にもソーシャルワーカーの方が在籍されるケースも多くなりましたが、病院外で独立してソーシャルワーカーが相談事業を行っている背景について教えてください。

「がんの子どもを守る会」の前身である親の会のメンバーが設立した当時、日本にはソーシャルワーカーが相談を受けるという機能が病院内外に関わらずありませんでした。そんな中親の会メンバーが、「アメリカにはソーシャルワーカーに相談する機能がある」ということを知り、ソーシャルワーカーの必要性を感じて専門職による相談事業を立ち上げたのがはじまりです。

例えば、当会に相談される親御さんから「病院内のソーシャルワーカーの方は対応人数も多く忙しそうなので、自分のために時間を取ってもらうのは悪いと気を使ってしまい十分に相談できなかった」という声や、「院内のソーシャルワーカーさんは、退院すると話をする機会が減ってしまうが、がんの子どもを守る会のソーシャルワーカーさんなら退院後、治療後も継続して相談できる」という声、そして「病院選びから入院中・退院後も同じソーシャルワーカーの方にいつも相談できる安心感がある」という声が寄せられています。

病院選びのアドバイスやドクターの紹介(セカンドオピニオン)などを行う場合、どのようなデータをもとに紹介されているのでしょうか。

当会は1984年に小児がんの病気別の研究会の立ち上げに協力しており、この研究会はのちに日本小児がん学会へ発展しました。当会は日本小児がん学会の事務局を長い間しており、協力関係があります。したがって小児がんの専門医師や治療環境についての情報を熟知しております。(2013年から一般社団法人学会支援機構が担当)さまざまな情報をもとにセカンドオピニオン等の相談にお答えしています。

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「がんの子どもを守る会」の治療研究事業について

がんの子どもを守る会で行われている治療研究事業について教えて下さい。

「治療研究助成」と「海外留学助成」という2本柱で小児がんの期の適切な診断・治療成績の向上・トータルサポートの充実を目的に行っています。

治療研究助成は、小児がんに関する基礎研究を全国の医師や研究者から募集を行い2014年度は20の研究助成を行いました。

海外留学助成は、小児がん領域における若手オンコロジストの育成や研究の向上・発展を目的に、臨床研究者を対象にした海外の大学や研究施設に留学に関する奨学助成を行っています。2014年度は大阪府立成人病センターの中田佳世氏による「Population-basedを用いた、英国と我が国(大阪)における小児と思春期・若年成人(AYA)世代のがん罹患・生存・死亡率の国際比較お小児がん登録システムの我が国への適応」に助成を行いました。

AYAがん患者(15〜30歳前後の思春期・若年成人:Adolescent and Young Adult, AYA)は治療方法やサポート面で対応が遅れていると耳にします。AYAがん患者に求められている支援はどのようなものがあるのでしょうか。

日本ではAYA世代の専門家がまだ少なく、小児病院だけでなく大学病院や各地域の基幹病院に分散して治療が行われていることもあり、AYA世代のがんの現状把握を難しくしています。

治療に関することだけでなく、AYA世代は就学・就職や世代特有のプライバシーの問題、友人との関係が密になる年齢であることからくる孤独感や焦りといった世代特有の問題も抱えています。

このような現状を踏まえ、AYAがん患者が求めているサポートとしては、治療実績の蓄積(現状把握を含め)体制の確立と、同じがんを患っているAYA世代どうしのコミュニティ確立か必要なのではないでしょうか。

AYA世代に対応している事例として、大阪府立母子保健総合医療センターがあります。この病院ではAYA世代のがん患者を積極的に受け入れ、青少年ルーム(通称:AYAルーム)を開設し子ども病院の中で孤立しがちな思春期・若年成人世代の患者に家庭的な空間を提供しています。

「がんの子どもを守る会」の宿泊施設(総合施設運営事業)について

がんの子どもを守る会では、患児に付き添う家族のために宿泊施設を提供されていますが、どこに利用できる施設があるのでしょうか。

現在は総合支援施設として3つの施設があります。2001年には亀戸に16室(東京都江東区亀戸)、2004年には浅草橋に17室(東京都台東区浅草橋)、2010年には大阪に12室(大阪府大阪市中央区)の宿泊施設を開設しました。2015年3月末時点で、3棟合わせて述べ115,000人を超える患児・家族の方にご利用いただいています。

近藤 博子さんの病院ボランティアインタビュー写真

その他には、1995年に東京都中央区内の病院で治療される患児・家族を対象にした宿泊施設を区立住宅「あかつき住宅」の1戸を借り上げて管理運営しています。(利用料は1部屋2,000円)

また、三重大学医学部附属病院の敷地内に和室4室が小児慢性疾患患児とその家族のために用意されています。(利用料は1泊1,000円、昼間の部屋風呂の利用料300円)

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がんの子どもを守る会で運営されている施設以外の場所に、患児やその家族が宿泊できる施設はあるのでしょうか。

はい、あります。全国には病院やNPO法人が主体となっている宿泊施設が多数あり、インターネット上でも検索することができます。関東ではNPOファミリーハウスが安心して泊まれる施設を多く提供しています。もし、宿泊施設について情報を知りたいという方がいらっしゃれば、当会のソーシャルワーカーが責任を持って宿泊先をご案内します。

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病院ボランティア・会のボランティア活動について

がんの子どもを取り巻く様々な活動をされてきた近藤さん自身の経験から、病院ボランティアの意義についてどのように感じていらっしゃいますか?

実は私の娘が闘病生活を送っていた時に学生ボランティアの方が来院してくれたことがありました。私の娘はその方が来ることをとても楽しみにしていたのを思い出します。

このように、病院ボランティアは職員の職務を補うものではなく、患児やその家族に病院以外の普通の風を送ってくれることが一番大切なのではないかと感じています

病院ボランティアが広がるために、近藤さんが「ボランティアと病院の窓口になるコーディネーター機能」の重要性を説いていらっしゃる理由について教えて下さい。

ボランティアの活動実績がない病院の場合、感染症など様々なリスクを考慮してボランティア活動が制限されたり、院内の活動に消極的な病院は珍しくありません。

ところが、病院から信頼されたボランティアコーディネーターがいることで病院ボランティアの活動範囲が広がり、多くのボランティアスタッフさんが活躍できる様子を目の当たりにしてきました。つまり、コーディネーターがニーズを把握した上で、ボランティアしたい人の特性を活かせる場をコーディネートすることで、ボランティア活動の範囲が大きく広がることを意味しています。

もし、ボランティアスタッフの適材適所がうまくいかず、病院からの信頼を得ることができなければ、病院ボランティアの活動は制限されます。このようにコーディネーターの能力が活動範囲に大きく影響することを見落としてはいけないと感じています。

コーディネーターの資質の見える化ができれば、病院ボランティアの活動範囲の拡充に繋がるのですね。資格や研修などの形で、コーディネーターの資質の見える化は可能なのでしょうか。

コーディネーターの資質の見える化ができていないのが現状です。当会でも「見える化」が様々な部分で課題となっています。今後、研修や資格取得などなんらかの形で見える化が必要になってくると感じています。

がんの子どもを守る会のボランティア活動において課題に感じていらっしゃることはありますか?

世代交代の難しさです。当会が発足した1968年(昭和43年)と、現在では(1)小児がんの治癒率が高まっている(2)働くお母さんが増えているといった要因から、ボランティア活動に参加する流れが昔とは違ってきていると感じます。

一方で、最近では企業がボランティア活動を取り入れる事例や、働きながら病院ボランティアに参加できる活動が増えています。このように時代の生活サイクルにあう活動の広がりを模索していければと感じています。

近藤 博子さんの病院ボランティアインタビュー写真

公益財団法人「がんの子どもを守る会」の活動実績

1. 相談事業 ① 相談事業 専任のソーシャルワーカーにより切れ目のない相談支援が行われている。 ② 相談会の開催 個別の医療相談会を開催している。 ③ 子どもを亡くした家族の会 子どもを亡くした家族の会を年11回開催。短期集中型サポートグループを開催。 ④ 小児がん経験者への支援 全国の小児がん経験者の会への支援、リーダーの集い、スマートムンストンキャンプ ⑤ 親の会支援 全国の親の会に対する支援、親の会連絡会の開催 ⑥ きょうだいの支援 きょうだいの交流会開催。富士山キャンプ。 2. 療養援助事業 経済的負担に対する支援 3. 治療研究事業 医療、トータルサポートなど研究に対する支援、海外留学助成 4. 総合支援施設、宿泊施設の運営 ① アフラックペアレンツハウスの運営 亀戸、浅草橋、大阪のペアレンツハウス運営 ② その他の宿泊施設運営 あかつきハウス、三重ファミリーハウス 5. 小児がん・難病対策 厚労省、各都道府県庁に対して要望、陳情を行っている。 6. 支部活動 全国21の支部で地域活動をしている。支部連絡会の開催。 7. 広報・啓発・募金活動など 日本小児がん・血液学会学術集会にて公開シンポジウム開催。小児がんの子どもたちの絵画展開催。ゴールドリボンによる啓発活動。 8. 国際活動 国際小児がん親の会連盟への参加。国際小児がんの日の全国でのイベントと啓発カード配布。 9. ボランティアコーディネイト・研修会 遊びと学習のボランティアたんぽぽの派遣の他さまざまなニーズに応えてボランティアのコーディネイトをしている。またボランティアの研修会も開催。 10. 調査・研究協力 当会会員を対象とした調査研究に協力している。
<活動に従事している方の人数・年齢層>
   職員 事務職 7名、ソーシャルワーカー 6名 ハウスマネージャー 4名
   ボランティア 21支部のボランティアを含めて約300名
   職員の年齢は30代から60代まで幅広く活動されています。