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清田 悠代さんの病院ボランティアインタビュー写真

小児病棟は、病児のきょうだいであっても入室が許可されていない病院がほとんどであることをご存知でしょうか。これは感染症のリスクを増やさない・事故のリスクを無くすために必要な対応です。しかしその一方で、親に引き連れられてきた「きょうだい児」は、病棟外に一人で残されて待つケースも珍しくありません。そんなきょうだい児のために2003年に発足したボランティア団体が「しぶたね」さんです。
今回は、しぶたね代表の清田さんとしぶたね設立メンバーの一人である眞利さんに「しぶたねを立ち上げた経緯」や「きょうだい支援が抱える課題」、「今後やりたいこと」についてお話を伺いました。

きょうだい支援「しぶたね」の設立エピソード

「しぶたね」を立ち上げることになったきっかけについて教えてください。

私が中学生だった頃、心臓病だった弟の入院先で見た「小さなきょうだいたち」から受けた衝撃があります。感染症などのリスクから病棟に入れないきょうだいを目の前にして「こんな状況でいいのかな、何かできることはないのかな」という気持ちが芽生え、心の中でずっとくすぶっていました。
そんな思いが、大学三回生のときに弟が病気で他界したことをきっかけに大きく変わりました。それまではどこか弟に遠慮があり、また自分自身が「きょうだいとしてしんどい思いをした」という実感もなかったので、きょうだい支援に踏み切れずにいました。しかし、弟を亡くしたことできょうだい支援への思いがはっきりとしました。

2001年大学卒業後、研究生として大学に在学中にアメリカできょうだい支援をおこなっているドナルド・マイヤー氏の「シブショップファシリテーター養成トレーニング」に参加する機会に恵まれました。
この養成トレーニングを知ったのは、あるアメリカのメーリングリストとの出会いがきっかけでした。このメーリングリストは、私と同じように特別なニーズのある兄弟姉妹をもつ方を対象にしたものでした。心もとない英語にもかかわらず、弟を亡くしたばかりで本当に辛かった私に対して、アメリカの方は「カウンセリング受けれてる?ワーカーの人は家にきてくれた?」と温かい言葉をかけてくださいました。その中の一人に、日本で「きょうだい支援を広める会」を主催している有馬靖子さんがいました。有馬さんから「アメリカできょうだい支援を行っているマイヤーさんを日本に招聘するからおいでよ」と誘ってもらい、養成トレーニングに参加できることになりました。
マイヤー氏が「あなたはひとりじゃないよ」と小さなきょうだい達に話しかけている様子を実際に見た時、心細かった自分に言ってもらえているような気がして涙が次から次に溢れ出ました。
その時の経験から「日本にいる小さなきょうだいにも、こういう安心できる場があったほうがいいよね、日本でもこんな活動を広げていけたら・・・」とう思いが強くなり、ボランティアグループ「しぶたね」を立ち上げることにしました。

ボランティア団体からNPO法人化を決断されたのにはどんな理由があったのでしょうか。

ボランティアグループとして活動を始めた頃は、「そのうち自分たちと同じような思いを持った人が出てきて、きょうだい支援がどんどん広がっていく」と思っていました。しかし活動を10年続けても、きょうだい支援の活動は想像していたように増えてはいませんでした。「このままこじんまりと活動をしているだけではきょうだい支援が広がっていかないのでは・・・」と気づき、「きょうだい支援をしたいと思っている人たちにその方法を伝えることができないか」「将来的にきょうだい支援が職業として成り立つようにしていかなければ」と考え、その方法のひとつとしてNPO法人化を決意しました。

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「しぶたね」を立ち上げた時、どんなことから始められたのでしょうか。

「きょうだい支援について知ってもらおう」といろいろな研究会で発表の機会をいただきました。その活動を通して、「きょうだい支援で何がやりたいのか」を知ってもらうだけでなく、「共感して活動を共にしてくれる仲間探し」をしました。

しかし発表の経験を積んでいくうちに、「ワークショップを進行したり人前で話すのがとても苦手だな」ということに気づいたんですね。そんな時、「喘息の子を対象にしたキャンプリーダーを経験している先輩がいたな、あの人に頼んでみたらいいじゃないか!」と思い付きました。早速その先輩に「きょうだい支援とは何か、日本ではまだ広まっていないという現状、アメリカでは既に素晴らしいきょうだい支援活動が広がっている」ということを伝えると、興味を持ってくれたんです。

そこから二人で研究会や市民講座を回りました。すると、新たに心理学の勉強をしていた学生と知り合い、しぶたね三人目の協力者として参加してくれるようになりました。その後、市民講座を企画していた公的な施設の担当の方が四人目として参加してくれるようになりました。
こんな奇跡の出会いが重なり、「しぶたね」の今に至っています。

「しぶたね」を立ち上げた時、大変だったことはありましたか。

「しぶたね」はずっと恵まれていて、大変だったと感じることはほとんどないのですが、強いて挙げるなら病院で活動にするために4年の年月が必要だったことでしょうか。きょうだい支援を病院で行うことに対して、最初は「感染症や事故といったリスクがあるから」「場所がないから」と様々な理由で活動の許可がなかなかおりない経験をしてきました。
しかし、廊下で待つきょうだいたちの姿に胸を痛めていた看護師さんが「場所がないならベッド置き場のベッドを移動して場所を作ればいい」と提案してくれたり、管理部の方が粘り強く交渉してくださったおかげで病院でのきょうだい支援活動が始まりました。

また、お手本がなくて何からどう始めていいかわからない悩みはありました。ただ目指すべきゴールは見えていましたし、何より「しぶたね」を支えてくれる仲間がたくさんいてくれたことを励みにとにかく無我夢中でやってきたな・・・という感じです。

立ち上げ時、周囲の人に助けられたことについて教えて下さい。

ちらしの作成やプレゼンテーションの仕方、活動計画書の作り方など事務全般に関しては、市民講座を企画していた公的機関の施設の方が一から教えて下さいました。
また、小児科の先生、看護師さん、大学の先生、病院ボランティアの先輩、CLSさんやHPSさんなどの専門職の方々が、現場の経験や学術的な裏付けをもとに、きょうだい支援についてアドバイスしてくださっています。

今後、団体を設立しようと考えている方にメッセージ、アドバイスがあれば教えて下さい。

最初から完璧にやろうとせず、小さいことからはじめてみてはいかがでしょうか。今までの経験上、一回だけのイベントを開催するとか、他のイベントの中できょうだい支援も行うという形であれば、自分もやりやすいですし病院からも受け入れてもらいやすいという印象です。そういった活動を積み重ねていく中で、子ども達が喜ぶ姿を見ると周囲の理解が深まり活動への見方が好意的に変わってくるのではないでしょうか。
そして同じような活動をしている先輩や仲間を見つけて相談してみるのも一つの手です。私たちでよければいつでも相談してもらえればと思います。

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きょうだい支援「しぶたね」の活動内容について

「しぶたね」の活動内容について教えて下さい。

しぶたねの活動は大きく3つに分かれています。

一つ目は「きょうだいの日」という活動です。これは、病気のお子さんのきょうだいが主役になりボランティアと一緒に楽しくあそぶワークショップです。小学生向けの「きょうだい日」を年2回、中学生以上向けの「きょうだいの日」を年2回行っています。
小学生向けのきょうだいの日は、小学生向けのゲームが中心になるのですが「小学校を卒業したみんなとも会う機会が欲しい」と思い中学生以上向けのきょうだいの日を作りました。中学生以上向けきょうだいの日では、一緒におやつをつくりながらたわいもないことを話したり、小学生きょうだいに送るクリスマスカードの準備を手伝ってもらったりしています。
アメリカでも中高生のきょうだいへのフォローが課題になっているそうです。すでに紹介した「シブショップ」というきょうだい支援のワークショップは基本的には8〜13歳向けのゲームを中心に作られています。しかし、シブショップと、大人のきょうだい向けのピアサポートプログラムとの間の、子ども時代とも大人世代とも違った悩みをもつ思春期や若い世代のきょうだい向けのサポートがまだ少ないのが現状です。そのため、手探りではありますが、中学生以上のきょうだいが安心して来られる場をつくり、ちょっと疲れた時に行ってみようかなと思える場所、自分も小さなきょうだいのために何かしたいと思ってくれる子にはその気持ちを受け止められる場所に育てていければいいなと思っています。
小学生向けきょうだいの日のうち1回は、きょうだいと親御さんとで過ごす日にしています。きょうだいのことを心配して、この子のために何かしたいと思っておられる親御さんの気持ちにきょうだいが包まれる日になればという思いで行っています。親御さんが「うちの子こんな風に笑うんですね、可愛いな」ときょうだいから元気をもらって帰っていくのを見ると私たちも幸せな気持ちになります。

2つ目の活動として病院活動があります。
月2回、18:00〜20:00に大阪市立総合医療センターで活動しています。
この時間にした理由は、導入時の病院の面会時間(15:00〜20;00)の中で、病院スタッフも少なくきょうだいさんが一番心細い、一番遅い時間に活動できればと思ったからです(現在は面会時間の制限はなくなりました)。ゲームをしたりおもちゃであそんだり工作を楽しんだりと、1回につきボランティア5名ほどで活動しています。
また2013年からは病院の中でも「きょうだいの日」が開かれるようになり、その企画や当日の運営のお手伝いをさせていただいています。
他の病院からも、たとえばソーシャルワーカーさんから「夏休みも病院にきているきょうだいに楽しい時間を過ごしてほしい」ということで声をかけてもらい、「きょうだいの日」の出前をするということもあります。

3つ目の活動は「たねまき活動」という啓蒙活動を行っています。
きょうだいの感じている辛さや頑張っている現状を伝え、きょうだいが安心していられる場所を増やしていくことを目的に寄稿や講演を行っています。

清田 悠代さんの病院ボランティアインタビュー写真

病院ボランティアさんが活動をはじめられるきっかけはどのようなものがあるのでしょうか。

しぶたねのブログやSNSなどを見て「自分も病児のきょうだいだったので、同じ思いをしている子どもとあそびたい」と連絡をくださる方が活動メンバーの半分ぐらいいらっしゃいます。
その他には、大学の病院ボランティアサークルから継続的に来てくれる学生さんや、大学の講義やゼミでゲストスピーカーをさせてもらった時に興味を持ってくれた学生さんが参加してくれるということも増えています。

病院ボランティアさんが感じるやりがいについて教えて下さい。

初めて病院活動に来られたボランティアさんは、夜遅くまで廊下でぽつんと座って待っているきょうだいの姿にショックを受けられることも多いです。そんなきょうだいと一緒に過ごせることが嬉しいという声を多くいただきます。大きな病院の中で、きょうだいのための場所、きょうだいのための人がいる大切さを感じ、それを自分が一緒に作っているんだという思いが皆さんのモチベーションにつながっているのではと感じています。

私たち自身も、きょうだいのための場所をつくっているという日々の実感に加え、活動が長くなってきたことで、大学生や社会人になったきょうだいから、「あの時、きょうだいの日があって嬉しかったよ」「病気は自分のせいじゃないって言ってもらえてよかったよ」という声を聴かせてもらえるようになりました。「今までの活動は間違ってなかったんだな」と答え合わせをしてもらっているような気がしてモチベーションにつながっています。

一般的に病院ボランティアスタッフさんの継続率が課題になることがありますが、しぶたねさんの中でも同じような問題があるのでしょうか。

国内にきょうだい支援をやっているところが少ないので、「一度見ておきたい、体験しておきたい」という思いで見学される方、短期的に活動に参加される方も増えています。
もちろん、長く活動してくれると一番嬉しいですが、一回だけでも活動に参加してもらうことで「きょうだい支援について知ってもらう種まきができた」と思っているので課題としては捉えていないです。

「病院ボランティアスタッフさんがなかなか集まらない」という声を聞くことがあります。しぶたねさんでは、ボランティアスタッフさんの募集はどのようにされているのでしょうか。

今はブログやツイッターやフェイスブックなどSNSを使って手軽に情報を発信することができます。それらの情報をみつけて来てくださる方に恵まれているため、募集自体を積極的には行っていないのが現状です。

逆に、「ボランティアに参加したい」と思ってくれる方々に対して活動回数が足りていないので、しぶたねとしては、活動時間や回数を増やすための仕組みづくりが今の課題となっています。

今後やっていきたい活動について教えてください。

研修ワークショプを増やして、きょうだい支援を担える人を増やしていこうと考えています。現在「一般の方向け」「病院向け」「学生向け」と3本立てでテキストを作成しているところです。

一般の方向け研修は、きょうだい支援に興味のある方であれば誰でも受けられる研修です。

病院向け研修は、病院できょうだい支援をやりたいと思っている方向けに、きょうだいの気持ちや、きょうだい支援の意義などを共有し、みんなで士気を高められるようなつながりをつくっていくことをメインに行いたいと思っています。
病院スタッフの方々は、きょうだいのことに目を向けておられる方ほど「何もできていない」と自責感を抱えてしまいがちで、きょうだい支援を行うためには業務外の時間に頑張るしかなく、疲れてしまうという現状があります。そんなふうに頑張っている方々を応援できるような研修ワークショップを広げていこうと考えています。この病院向けの研修は、すでに名古屋と東京で行うことが決まっています。

学生向け研修は、主に、将来きょうだいに会う機会がある可能性が高い医療・福祉・教育・心理等を学んでおられる学生さんを対象に行う予定です。将来、医療や福祉の現場を担う若い方々が、きょうだい支援の考えを学生の段階から知る機会があれば、きょうだい支援の土壌が醸成できるのではと考えているためです。

清田 悠代さんの病院ボランティアインタビュー写真

きょうだい支援において病院ボランティアとしてできること

「病院ボランティアにしかできない役割」についてどのように考えていらっしゃいますか。

きょうだい支援に関して言うと、ボランティアという形にこだわっているというよりも、現状は職業として成り立っていないというのが本音です。

なので、将来的には「きょうだい支援」を専門に行えるソーシャルワーカーのような職種が必要だと考えています。アメリカではスクールソーシャルワーカーや病院や施設のスタッフ等がきょうだい支援を担う仕組みができていますし、イギリスでは、たとえばこどものホスピスにきょうだい支援を行うNPO団体から専門スタッフが派遣されているところもあります。

日本でも、きょうだい支援を行える仕組みができあがってくれば、ボランティアだからこそ出来ることがもっと明確に出てくるのではないでしょうか。

きょうだい支援の活動範囲を多くの病院で広げていくために必要なことや、病院ボランティアの課題だと感じていることについて教えてください。

活動を広げていくためには、みんなに知ってもらうための啓蒙活動が必要だと感じています。知る機会さえあれば、情報を受け取った方は「何かできることがあるかな」と感じてくださるというのが実感としてあります。

また病院ボランティアが広がるためには、医療現場でもっとたくさんの人で子ども達の成長を支える土壌づくりが必要だと思います。
子ども達にとって病院は治療する場であると同時に生活の場、成長の場でもあります。病気をもつ子どももきょうだいも一人で寂しく過ごす時間を少しでも減らすために、子ども達の心を支える大人の手がもっと増えればと思いますし、そのためには責任の所在をボランティア個人に落とし込むというよりは、普段、健康な子ども達を地域全体で見守る空気のような(病院なので、もちろん子どもやボランティアの安全のための工夫は必要ですが)、そんな「大らかさ」も生まれてくるといいなと思います。

しぶたねさんが目指しているビジョン「こうなったらいいな・・・」と感じていらっしゃることを教えてください。

すべての病院にきょうだいのための場所があったりきょうだいのための人がいる状況を作っていきたいですね。病院のスタッフの方が当たり前のようにきょうだいのことも気にかけていて、きょうだい支援の活動もあり、きょうだいたちが歓迎されていると感じられる環境になれば嬉しいです。

「きょうだい支援」というと、完璧にちゃんとしなきゃ!と思われる方もいらっしゃいますが、廊下に座っているきょうだいにニコッとするだけでも、こどもの心の持ちようが全く違ってくるということを知ってもらえたらと思っています。

また病院だけでなく療育施設等にもぽつんと待っているきょうだいがいます。そういった場所でも、当たり前にきょうだいが気にかけてもらえるようになるといいなと感じています。

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